遺贈寄付(遺贈寄附)とは、遺産を特定の団体や個人に寄付することです。
自身が亡くなった後に、自身の遺産を寄付するのですから、寄付したいと思っているだけでは、遺贈寄付は実現できません。それでは、遺贈寄付をするにはどうしたら良いでしょうか。
遺贈寄付を考える際のポイントや進め方について解説します。
「遺贈寄付」とは、遺贈を利用した寄付のことです。
遺贈寄付をするためには、遺言を作成し、遺産の全部または一部を、相続人ではない特定の人や団体に寄付を行う旨の意思表示をする必要があります。寄付する先は、公益法人、NPO法人、学校法人、国立大学法人、地方自治体、その他の団体や機関などで、ご自身で寄付したい先を決めて、遺言書に記載します。
ご自身最後の社会貢献とも言えます。
どの団体に寄付をするのか、という点は最も重要で悩ましい部分だと思います。じっくりと検討して、納得のいく寄付先を選定しましょう。
迷ってしまって決められないという方は、『興味や関心のある分野』『貢献したいと考える地域』『団体の規模』を整理すると、寄付したい先が明確になるかもしれません。
また、寄付先には、何を寄付する予定なのか連絡しておきましょう。団体により、受け付けるもの、受け付けていないものがある場合もあります。将来の手続きを円滑に進めるためにも、大切なひと手間です。
遺贈寄付はご自身が亡くなった後に行われるものですから、考えているだけでは実現できません。遺贈寄付を実現するためには遺言書を残しておく必要があります。
遺言には主に2種類があります。
法的に有効な遺言書となっていればどちらの形式でも構いません。
自筆証書遺言を作成する場合は、紛失や改ざん、死後発見されないリスクがありますので、法務局の保管制度を利用することをお勧めします。
公正証書遺言は、公証人の費用が掛かりますが、形式面で不備となったり、紛失などの心配はありません。遺贈寄付を行う場合は、公正証書遺言の作成が安心です。
遺言書には、付言事項として寄付についての想いや考えなどを残しておくと、残された相続人も気持ちの整理がつきやすいです。付言事項の記載も、ぜひ検討しましょう。
遺言執行者は、遺言の内容に従い、相続人や寄付先に財産を引き継ぐ手続きを行います。遺言の内容に沿って寄付が行われるように、遺言執行者を指名しておきましょう。
相続手続きには時間と手間がかかりますし、相続人間のトラブルを抑制するためにも、遺言執行者は中立な立場で手続きにも慣れている専門家に依頼するのが良いでしょう。遺言作成のサポートを依頼した専門家であれば、財産の状況や寄付に対する思い等を把握していますので、安心して任せられますし、手続きもスムーズに進みます。
相続人がおらず、遺言を残していない方の財産は、亡くなった後どうなるかご存知でしょうか?
亡くなった方に相続人がおらず、遺言も作成していなかった場合、亡くなった方の財産(遺産)はすべて国庫に帰属することになります。つまり、配偶者や子、親、兄弟などの法定相続人となる方がいない場合は、遺言を書いておかないと遺産は国の財産となるのです。
自身に相続人がいない場合、関心があったりお世話になった団体への遺贈寄付の意向を遺言に記載しておけば、ご自身亡き後、ご自身の財産(遺産)を、ご自身の望む分野で有効活用してもらうことができます。
一定の範囲を超える額の相続が発生すると、相続税を納める必要があります。寄付金控除を受けられる団体に遺贈寄付をした場合、相続税の課税対象が下がるため、節税に繋がるというメリットがあります。
また、遺贈寄付は寄付金控除の対象にもなります。寄付先が寄付金控除対象となる団体であった場合、被相続人の準確定申告で寄付金控除を適用できます。
※税金に関する相談は税理士だけに許された業務となります。峯村司法書士事務所では、案件に応じて地元長野の最適な税理士と連携し、万全にサポートいたします。
遺贈寄付を実現する流れをご説明いたします。
どんな団体へ寄付をしたいのか、じっくり考えましょう。
各団体のポリシーや特徴を知り、ご自身が共感できる、応援したいと思う、そんな団体へ寄付したいですね。
寄付先は1か所でなくても構いません。
遺贈寄付は、遺言によるものが一般的です。
有効な遺言書を作成する必要がありますので、司法書士や弁護士などの専門家のサポートを受けることをお勧めします。
相続人や寄付先への財産配分については、遺留分についても考慮すべきです。後々のトラブルを防ぐためにも、専門家のアドバイスを受け、財産をどのように引き継ぐか検討しましょう。
専門家のサポートとアドバイスを受けて、遺言書を作成します。遺言書は公正証書遺言でも自筆証書遺言でも構いません。自筆証書遺言であれば、法務局の保管制度を利用すると良いでしょう。
また、遺言が確実に実行されるように、遺言書で「遺言執行者」を指定しましょう。遺言執行者は相続人となる家族や親しい知人にお願いすることもできますが、時間的にも労力的にも負担が大きくなります。
遺言書作成のサポートを受けた専門家に遺言執行者を依頼しておけば、手続きはスムーズですし、想いも伝わっているので安心です。
遺言者が亡くなられると、遺言を実現するための手続きが遺言執行者により開始されます。
遺言執行者が相続人や受遺者に対して遺言の開示を行い、遺贈の承認または相続の放棄を確認した上で、相続の手続き(換金や名義変更、寄付等)を行います。
亡くなった後スムーズに手続きが進められるように、亡くなった事を遅滞なく遺言執行者へ知らせるように家族等に依頼しておくと良いでしょう。
近年、「遺贈寄付」への関心が高まっていると言われています。自身最後の社会貢献として、今まさに検討している、とういう方もいらっしゃるでしょう。
遺贈寄付は遺贈する財産や寄付先等をよく検討し、しっかりと準備しておかないと、かえって寄付先や相続人の負担となってしまいます。
遺贈寄付を円満に実現するためには、遺言の作成や税の問題の確認など、あらかじめ専門家に相談して準備しておくことが大切です。
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