公正証書遺言に関するよくある質問にお答えします。
公正証書遺言は、公証役場で公証人に作成してもらうため、仮に専門家に依頼しなくても、形式面で法的に問題のある遺言となるリスクは少ないでしょう。その点で、自分で公証人と相談して有効な公正証書遺言を作成することは可能と言えます。
一方で、司法書士等の専門家に依頼するメリットは大きいでしょう。
遺言書に書いておくべきこと、遺言書を書く上で気を付けておくべきことなど、お気持ちを実現するためにどのように書いたら良いのかといった内容面についてのアドバイスは、ご自身の想いから環境、家族関係の事までじっくりと話を聞いてくれる専門家に依頼しないと得られません。
また、遺言作成を専門家に依頼していれば、遺言時の想いを十分に理解していますので、安心して遺言執行者を依頼することができます。
公正証書遺言を作成するだけであればご自身で公証人に相談しながら進めることはできますが、将来の相続のことまでしっかりと検討し、トラブルの種を残さない遺言作成を希望される場合は、司法書士などの専門家に相談されることをお勧めします。
公正証書遺言は、遺言者が亡くなってから効力が生じますので、遺言者が亡くなるまではいつでも変更することができます。
変更・撤回は、原則として法律で定める遺言方式で、新たに遺言を作成する必要があります。新たに作成する遺言が、前の遺言書と同じ様式でも違う様式でも構いません。
(例)
〇公正証書遺言→公正証書遺言で変更(修正・撤回)
〇公正証書遺言→自筆証書遺言で変更(修正・撤回)
公正証書遺言を自筆証書遺言で変更することは、法律上は可能ですが、変更後の自筆証書遺言が発見されない可能性がありますし、改ざんなどのリスクも伴います。できれば、公正証書遺言の方式で作成しておく方が安心でしょう。
なお、公正証書遺言の原本は公証役場に保管されていますから、手元にある謄本を手書きで修正したり破棄したりただけでは効力は生じませんのでご注意ください。
変更(修正・撤回)後の遺言書が法律で定められた要件を満たさない場合、その遺言書が無効であるだけでなく、相続人間でのトラブルの火種になりかねません。遺言書を変更したい方は、専門家に相談することをお勧めします。
遺言の内容によってはトラブルになることもあります。
①遺言書に、財産の一部しか書いていなかったり、内容があいまいな場合
記載のない財産があったり、遺言書の内容が不明確なだと、相続人が遺産分割協議で相続方法を決める必要があります。せっかく、遺言を作成しても、それでは意味がありません。遺言書作成する際は、全財産を記載し、明確な内容にしましょう。
②財産の分け方に差がある場合
財産を相続人間に公平に分けることが難しい場合があります。事情によっては、特定の相続人に財産を集中させたい場合もあるでしょう。その場合であれば、なぜその相続人に財産を渡したいのか、その理由を付言事項として記載すると相続人も納得しやすく、トラブルになりにくいでしょう。
また、一定の法定相続人には遺留分といって最低限相続できる権利が保障されており、遺言が遺留分を侵害している場合には相続人が請求することができます。そのため、財産の分け方に差をつけるとしても、遺留分に配慮しておくとよいでしょう。
公正証書遺言は、作成時に公証人や証人が関わりますし、公証役場で原本が保管されますので、有効性が問題になることはほとんどないと言えます。一方、自筆証書遺言書は自分で自筆で作成しますので、形式上の不備や差し替えの疑い等有効性が問題になることがあります。
また、遺言の内容が必ず優先されるわけではありません。通常は、遺言があれば、遺言で指定された人が相続人となり、指定された内容で相続しますが、遺言の内容が遺留分を侵害している場合には、法定相続人の遺留分減殺請求権が優先されますので注意が必要です。
遺言に有効期限はありません。したがって、遺言を作成する際に有効期限を気にする必要はありません。
公正証書の原本は、原則として20年間、公証役場で保存されることになっており(公証人法施行規則第27条)、実際は、多くの公証役場で20年を超えても保存されているようです。
遺言書を複数作成した場合は、新旧の遺言書で矛盾する部分については新しい遺言書の内容が有効となります。
公正証書遺言は自筆証書遺言とは異なり、検認(家庭裁判所での開封)は必要ありませんので開封しても問題ありません。
公正証書遺言の原本は公証役場にありますが、正本・謄本は遺言者が保管していますので、遺品の整理中に発見することもあるでしょう。検認は不要の為、その場ですくに開封しても良いのですが、相続人が複数いる場合には、お互いの信用のためにも、できれば他の相続人に遺言書が出てきたことを伝え、一緒に又は了解を得たうえで開封し、内容を確認する方が良いでしょう。
公正証書遺言が残されているか分からない時は、公証役場の「遺言検索システム」で確認することができます。遺言書が保管されていた場合は、保管されている公証役場に請求をして遺言書の謄本を発行してもらえます。
【遺言者死後の場合の確認について】
自筆証書遺言の場合は、法務局保管制度を利用していれば遺言書保管所で確認できます。法務局保管制度を利用していない場合は、ありそうな場所(引き出し、仏壇、友人知人、信託銀行等)をひとつずつ確認していくことになります。
あるか分からない遺言を探すのは大変な作業です。遺言を作成した方は、「公正証書遺言を作成してある」「遺言書は○○に保管してある」等信頼できる家族に伝えたり、エンディングノートに記載したりするようにしましょう。
公正証書遺言を作成される目的や事情は、お一人お一人異なります。想いをしっかりとお伺いし、納得のいく遺言書作りのお手伝いをしたいと考えております。
司法書士法人 峯村共同事務所は長野密着。
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